こぎん刺しの模様とは?
◆こぎん刺しの模様とは?
先日のJapan Fairで、ご自身で刺したこぎん作品を見せてくれた方がいました。「もちろんあなたはこの模様を知っていると思うけど」と前置きしてくれたその模様、わかりませんでした。伝統的な模様の規則に当てはまらない創作デザインの作品でした。その方は、こぎん刺しの本を見て制作したと教えてくれましたが、こぎん刺しってなんだろう?と、こんなに純粋に疑問が湧き上がってきたのは初めてでした。もし前置きがなければ、こぎん刺しだと思わなかったデザインでした。
◆伝統的な模様かどうかは問題ではない?
結局、伝統的な模様であるかどうか、がこぎん刺しを示しているわけではないのだと知りました。「こぎん刺し」と表記された本にある図案は「こぎん刺し」になるのだと知りました。日本人であればモダンな模様なのかな?と想像できても、海外ではそんなことは起こりそうにありません。同時に、こぎん刺しに関する情報の幅が限られたアメリカで、この方がその作品をこぎん刺しだよ、と家族や友人に伝えて、それが広がっていくことを想像すると、文化って簡単に分化していくんだなぁと思いました。それらはどちらも元を辿ればこぎん刺しだけれども、元まで辿らないと別物、そんな感じです。
近くのスーパーマーケットでは、カリフォルニアロールと握り寿司が並べて置かれています。Kura Sushi(くら寿司)でも、握り寿司とカリフォルニアロールのどちらも食べられます。その、どちらもあることが案外大切なのかも、と思いました。伝統的な模様の存在を知っている状態で伝統的でない模様を楽しむのと、伝統的な模様の存在を知らずに伝統的でない模様をこぎん刺しとして楽しむのは、同じようで全然違うのでないかと私は考えました。Bの存在がAの存在や輪郭を際立たせる、伝統模様の輪郭を際立たせるのは伝統でない模様なのかもしれない。伝統的でない模様のおかげで伝統的な模様について考えたくなった気がする。ありがたい経験でした。
(こぎん刺しの基礎模様や、古作こぎんで使用されていた模様)
◆自分は伝統的なこぎん刺しを楽しんでいこう
私はアメリカでこぎん刺しを続けています。2024年5月は息子の小学校での各国の文化紹介のイベントで、6月末はJapan Fairというイベントで、こぎん刺しを自分なりに伝えてきました。どうしてこぎん刺しが生まれたのか、歴史的な背景や規制、模様の意味なども説明しました。ステージでの紹介時間までいただき、たくさんの来場者のみなさんに農民が生み出した芸術を伝えてきました。
Japan Fairではカラフルなアクセサリーなどの販売作品の隣に、紺地に白糸の東こぎんの模倣作品や模様一覧を置き、こぎん刺しについて説明を書いたボードを置きました。多くの方が立ち止まったのは、東こぎんと説明ボードの前でした。そして、こぎん刺しを理解し、知識でものの価値を高めてから販売作品を手に取ってくれました。これまでのどのイベントよりも多くの方が熱心に質問してくださり、伝統的なこぎん刺しへのリスペクトを表情と言葉で伝えてくれました。そして、日本でないからこそ見えたこぎん刺しの魅力がありました。
今ではさまざまな種類のこぎん刺しが存在しますが、私自身は伝統的な模様の自在さをまだまだ知りたいので、引き続き楽しんでいきたいと思います。楽しみながら、その魅力を共有していきたいと思います。アメリカで出会ったみなさんが見せてくれたリスペクトに、たくさんの学びをいただきました。
とりあえず刺してみるこぎん(伝統模様の自在さに身を委ねるこぎん)
◆自分らしく楽しめたら
今日は、先日のイベントをきっかけに考えたことをつらつらと書きました。貴重な経験だったためここに残しましたが、当然考えが同じ方も違う方もいらっしゃると思います。モダンな模様を楽しむ方だからこそ知るこぎん刺しの魅力もあると思います。何より、こぎん刺しに興味のある方がこぎん刺しについて考えることが、こぎん刺しの魅力をより一層引き立てていくことだと思いますので、引き続きそれぞれの楽しい時間を持っていただけたらと思っています。イベントから2ヶ月が経とうとしていますが、早めにイベントに関するブログも残したいと思います!どうぞ、引き続きよろしくお願いいたします。
伝統的な模様で大きめこぎんを制作する会も、準備していきます!
▶️材料研究ブログ
▶️ショップ(今後、一時帰国以外はデータ図案を充実させていく予定です)
▶️Instagram(動画などでこぎん刺しのシンプルさ、面白さをお伝えしています)
▶︎金魚ねぶたキット図案・説明書のデータ販売
(作品例に図案見本を追加しました)
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Satonobou