ブックカバー制作のヒント
◆ブックカバーキット制作のヒント
まずは先日の一時帰国に際し、キットをご注文いただきましたみなさま、ありがとうございました。日本全国から本当にたくさんのご注文をいただきました。特徴的だったのは、ブックカバーキットの新作を初めてのこぎん刺し作品としてご注文くださった方の多さです。スターターキットと合わせてご注文の方も多かったのですが、メッセージ等で初めてのこぎん刺しに挑戦される旨を記載くださった方もいらっしゃり、フォローの必要性を感じておりました。そこで本日は簡単にはなりますが、ヒントをご紹介しようと思います。
◆始めの数段が一番難しい
まず知っておくだけで心が軽くなることをお伝えします。こぎん刺し経験者の方にとっては当たり前になっていることかなと思いますが、こぎん刺しは始めの1段、そしてそれに続く数段が最も大変な時間になります。早速刺し始めたけど「うわぁ〜!」となっている方、ご安心ください。現在最も難しいエリアを進行中です。過ぎ去ってしまうと、その最難関エリアの数段がその先のこぎん刺しの進行を支えてくれる骨になります。どうかゆっくり、「今が一番大変で一番大切」とご自身を応援してください。
◆区切って考える、区切って進める
そして、私なりの1段目進行のヒントをお伝えします。下は単行本カバー用のこぎんを刺し終えたものです。下の赤の線は、「自分が認識しやすい区切り」です。この区切りは、慣れてくるともっと広くなり、慣れていない時には狭くなります。大体模様の境目を区切り地点にしています。今回の図案は、大枠の図案のくり抜き部分にモドコを嵌め込んだようなデザインになっています。そのため、大枠部分はひたすらに繰り返されます。繰り返す図案の時には、刺すほどに図案のリズムが体に入ってきますので、以下のような区切りを設けるとその図案全体のリズムが整います。モドコこそ様々ですので、慣れるまでは図案を見ることになると思いますが、大体黄色の線の間分(モドコの大きさくらいの高さ)刺すと、グッと楽になってきていると思います。
◆どこから刺し始めるのか
図案全体の中心がいいと思います。布を四つ折りにして中心をご確認ください。定規で長さを測ってもいいですね。お手元に届いた図案は(布も)、必要と思われる刺し範囲よりも縦にも横にも大きくなっています(おおよその刺すエリアは色付きの線で示してあります)ので、刺し縮みを考慮して刺してください。(縮みを考慮した長さは説明書に記載してあります)
ただ、大丈夫ポイントにも書きましたが、今回のキットはポケットの深さが以前よりも深くなっています。そのため、数センチ幅が短くなっても、ポケットの深さを浅くすればいいので、ちょっと幅が長すぎて挫けそう、という時は短くして大丈夫です!幅を長くしすぎると厚みのない本が居場所を安定させられず使いづらくなるので、幅は指定の長さ、またはお手元の本の厚みに合わせて少し調整する程度にするといいと思います。ただし、縦(高さ)は実際の本よりも上下4段ずつ(もしくはそれ以上)大きく刺してください。これも流石に大きくしすぎるとしっくりこなくなるのですが、今回はポケットが深いデザインになっているので、少しくらい縦が長くなっても安定感は失われづらくなっています。
◆糸の長さはどのくらいがいいのか
下手の長糸上手の小糸、私は下手の長糸タイプです。大体、一度に6段分位用意して、時々糸を引く時に絡んだのを解きながら進めています。(非効率にも感じますが、私の集中力にはそのくらいの長さがちょうど良いようです)ただ、手仕事ファンさん、つきやさんのこぎん糸の時はそれでも糸が傷みませんが、津軽工房社さんのこぎん糸は糸へのダメージを考えると長くても3~4段分が理想だと思います。
初めてこぎん刺しをされる場合は2段分ずつ、もしくは1段分ずつ糸を切って進めるといいです。もしも間違って戻る時にも、2段であれば間違った分の糸を引き抜く長さが抑えられます。(間違った段の端から糸を抜くだけで良いので)結局は集中力が続く分かつ糸が摩擦に耐えうる長さがいいので、ちょうどいい長さも人それぞれになると思います。頑張って刺したのを間違ったがために糸を抜くのはこれだけの段数になると精神的にも堪えるので、「楽しい軸」を大切に調整してみてください。
◆初めてでも作れるのか
初めてでも作れます。楽しい心と糸こきを何よりも大切に進めていただければ、時間の経過とともに布一面にふっくらとしたこぎん糸が張り巡らされます。楽しい心が集中力を持続させてくれますので、なんとなく楽しくない時は、リフレッシュしてみてください。「あぁ、なんだかそろそろこぎん刺しがしたいかも!」と思ったらぜひこぎん布を持ち上げてください。あとは、眠い時は無理して進めないほうがいいと思います。私は眠気を押し退けて進めた数段を、翌朝解くことが多々ありました。笑。正確にこぎん刺しをするには楽しさに加えて集中力が大切なんですよね。笑
ただし、間違っても、次の段でリカバリーできる場合は、間違いを味わい、自分自身のこぎん上の署名と思ってそのまま進めてももちろんOKです!
長くなりましたので、本日はここまで。「仕立ては手縫いになります」という方もいらっしゃったので、現在私が刺している文庫本サイズのこぎんは手縫いで仕立ててみます。そちらに関しても仕立てのポイントがあれば共有いたします。
仕立てに関して以前書いたブログも目を通してみてください。私は仕立てそのものは得意でなく、ただひたすらに慎重に慎重に仕立てています。どちらかというと初めての方の感覚を常に持っている感じだと思いますので、今回初めて仕立てる方にも何かしらお役に立てることが書いてあるかな?(なかったらすみません)と思います。
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