こぎん刺し模様を楽しむ1

◆こぎん刺し模様を楽しむ
 ときどき「こぎん刺しは面白いけど難しくて...」と教えていただくことがあります。私も始めた頃は、糸を抜くために刺しているのか?というくらい、こぎん刺しをする度に間違っていました。「あと少し...」と睡眠時間を削って刺した部分を翌日に見たら全て間違っていたり。(笑)
 今では以前よりもこぎん刺しをおおらかに楽しめるようになりましたので、記憶を辿りながら、こぎん刺しの魅力を再認識していきたいと思います。

(私をこぎん刺しの世界に導いた、兄作のこぎん刺し小銭入れ)

◆間違ったらそれも味、直してもいいしそのまま進んでもいい
 こぎん刺しを始めた頃の私は、図案があるからにはその図案が正解で、その通りになっていなことが間違い、のように捉えていました。そのため、本にある図案の通りに刺せていなかったら、糸を抜いて刺し直す、を繰り返していました。完成時の達成感でなんとなく続いていましたが、こぎん刺しよりも楽しいことに時間を割くようになり、一旦こぎん刺しから離れました。
 色々な偶然が重なりこぎん刺しを再開しましたが、このときから自分が楽しいこぎん刺しの時間を意識するようになり、一旦テキストから離れて楽しんでいるうちに、間違ったらそれも味だと思えるようになりました。おそらくここは性格も影響すると思いますので、自分の気持ちが心地よい方を優先するといいと思います。

(こぎん刺しの模様を楽しんで隣り合わせた作品、テーマは「十和田湖」)

◆色々なモドコを隣り合わせて楽しむ
 こぎん刺しを再開してからは、こぎん刺しの本やkoginbankさんのモドコDBから、面白そうなモドコ(基礎模様)や応用模様を選び、自由に楽しみ始めました。作品にテーマやイメージを持たせながら色を選んだり模様の組み合わせを楽しみ、楽しむ時間が積み重なることでこぎん刺しの伝統模様の規則性を体で理解できるようになりました。
 加えて、東こぎんの模倣経験から、こぎん刺しの模様の展開がなんとなくわかるようになり、こぎん時間が深く楽しいものになっていきました。また、糸一色で楽しむときと、複数の色で楽しむときでは、表現方法が異なる等、能動的に楽しむことで新たな発見が増えていきました。

(こちらは東こぎんには珍しく、辻褄を合わせた部分がないそうです)

◆伝統模様の柔軟性
 日本民藝館展
の作品も、これまでの作品(キットを含む)と同様に図案は用意せず、伝統模様の自在さと底力に身を委ねて制作しています。それってどういう意味?という感じですよね(笑)これはぜひ一度経験して欲しいのですが、こぎん刺しのほとんどの伝統的な模様には規則があります。その規則は模様同士をつなげる能力に長け、模様を孤独にしません。そして新たな模様を生み出します。
 私の今回の作品を見ていただくと、模様の繋げ方に切羽詰まっている印象や、なんとか見つけた解法のような余裕のなさがあるかと思いますが、それでも自分としては「よし、進もう」と次に進む合格点が出たことを確認して次に進んでいます。ここが、伝統模様の自在さと伝統模様の底力です。なんのこっちゃ?になってきたかもしれません。これは布と糸も用意して、改めて解説をして、少しでもこの面白さを共有し一緒にやってみたい方から連絡をいただきたいと思います。しばしお待ちください。

(図案がないからこそ整わないけど埋め尽くせたこちらの作品が生まれました)

◆図案がなくても大丈夫?
 まず初めに、私は刺し始める前に図案を起こすことを否定してはいません。 ただ、図案を用意しなくても、こぎん刺しの大きな作品を作れることを知って欲しいと思っています。整えた図案から生まれる作品の持つ整然さやかっこよさには欠けるかもしれませんが、無事にこぎん刺しになった、という経験はできます
 いや、図案がなくても大丈夫、と表現するのは正確ではなく、モドコ(こぎん刺しの基礎模様)がわかれば大丈夫、が正しい表現になりそうです。koginbankさんのモドコDBや市販のたくさんのこぎん刺しの伝統模様が書かれた本の模様から、ぜひ好きな模様を刺して欲しいと思います。10種類位刺すと、こぎん刺しの模様の規則を体が理解し始めると思います。この感覚があれば、あとはこぎん刺しの伝統模様の底力を信じて進むことができます。
 私の表現能力ではどうも伝えられそうにありませんので、こぎん刺しの材料が届きましたら、お伝えしたいことを布の上に表現したいと思います。しばし、お待ちください!なんと、今週こぎん刺しの荷物が届く予定です!

(2018年に作った作品です。隣のチェコの人形ももうすぐ届きます)

◆さとの坊のこぎん刺しキットも気軽に楽しんでください
 私の作ったこぎん刺しキットも、図案は起こさずに制作し、最後に図案に起こしています。刺している時の心地良さ、目で見た時の心地良さを優先し、これまで全てのキットを制作してきました。ということで、作品のスタート地点が机上でなく布上ですので、楽しみやすくなっているのでは?と思ってはいるのですが、やはり、そうはいきませんよね!(笑)
 あ、間違った、直そう!でもいいですし、あ、間違った、まぁいっか!でもいいので、とにかく楽しんでいただきたいです。スキルアップキットは現時点で、1(スターターキット)から10までありますが、こちらは楽しみながらこぎん刺しの基本的な動きを経験できるようになっています。模様を一つ刺す、斜めに動く、横に動く、囲む、繋げる、など、ご自身で図案を考えたり、図案なしにこぎん刺しを楽しめるようになって、こぎん刺しの面白さにさらに一歩踏み込んでいただきたいと思い、制作しています。季節を楽しむキットブックカバーキットは、色々なこぎん刺しの動きが含まれますが、何よりもこぎん刺しのデザイン性の広さを楽しんでいただきたいと思って制作しています。

(ブックカバーキット)

 私はこちらの上の模様を図案を見ずに刺せるようになった時に、こぎん刺しの模様が化学方程式のようだと感じました。どこまでもシンプルになれる(基礎模様に辿り着く)のもこぎん刺しの模様の特徴だと思います。こぎん刺しの模様を楽しむための具体的な情報に欠けるブログになってしまいましたが(すみません!)、材料が届きましたら、自分なりに説明していきたいと思います。
 Satonobou活動でのやりたいこともたくさんあるのですが、まだまだアメリカでの生活が落ち着いておらず、、ゆっくりになりますがどうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

 

▶️材料研究ブログ(年明けに再開予定です)

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▶️Instagram(動画などでこぎん刺しのシンプルさをお伝えしています)

 

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