布と糸を知る16(オリムパスリネン)

◆布と糸を知る16(オリムパスリネン)
 
布調べは6枚目、今回のオリムパス製のリネンで麻布カテゴリーは調査完了となります。オリムパスリネンは今回調査対象の12枚の布で最軽量(全ての布を同面積で計量した結果)というのが大きな特徴です。それが正しく糸との相性で感じられたように思いました。
※布名のアルファベット、糸名の数字は便宜上振ったものです。

◆オリムパスリネン基本情報
⚪︎素材 麻

⚪︎1㎠あたりの目数(縦:横)8目
⚪︎購入店 取扱店
⚪︎購入時期 2021年頃(ロットによる差の可能性を考慮し記載)
⚪︎展開色や価格等の商品情報はメーカーにお問い合わせください。

(ざっと見た感じは、このような布です。光が透りますね!)

◆オリムパスリネンの印象(さとの坊調べ)
⚪︎織り糸が細く布が軽い▶️軽やかさや柔らかさを活かす作品に良さそう
⚪︎透ける▶️糸の渡り感が表に出るため、部分刺しの場合は糸や裏布、接着芯など全体への意識が大切そう
⚪︎布の織り糸に高さがない▶️太い糸などに抑え付けが甘く段がずれやすそう、撚りがしっかりとした優しい糸との相性が良さそう

 下はマクロレンズで撮影した写真です。パヤパヤとした糸もなく、穴が見やすく、初心者の方も刺しやすそうですね。布の主張が少ない印象がありますので。アート作品にも使用しやすそうです。実際に刺した感覚としては、織り糸が非常に細いため、針で糸を割るのは困難に近く、織り糸がよく動くので糸こきがしやすいと思いました。布の織り糸が細いため太い糸には埋もれやすく、糸との相性がわかりやすいように感じました。ただし、表面もツヤツヤで織り糸が動くため、こぎん針も滑りやすいと思います。この先調査の布になりますが、つきやさんで販売しているニューコングレスと似ているような印象を持ちました。

(たて糸の細さが見て取れますね)

 こうやってズームした写真で比べると全然違うのですが(笑)、似ている印象の布を並べておきます。オリムパスのリネンは表面がとてもすっきりしていますね。布の軽さ、糸の通り具合などが似ていると感じています。G.ニューコングレスは次回調査の布ですので、改めて意識してみます。

 ◆オリムパスリネンに、また刺してみたい!と思ったさとの坊おすすめの糸
 全て運針で同じこぎん針を使用して刺した感想です。私の技量が見た目や感想に影響することをご理解いただきますようお願いいたします。

⚪︎4.ダルマ こぎん糸
刺し心地:糸の通りがスムーズで糸の太さと穴の大きさがよく合う
見た目:個人的に繊細さ(壊れやすい)が特徴の糸だと感じていますが、オリムパスリネンの繊細さが糸を壊さずよく合う
感想:ここまで調べた麻布の中で、ダルマのこぎん糸と最も相性が良いと感じました。表面にパヤパヤした毛がなく織り糸がよく動くためかと考えられます。

⚪︎5.津軽工房社 津軽こぎん糸
刺し心地:スムーズで太さが合う
見た目:津軽こぎん糸の艶感や上品さも失われずとても美しい
感想:刺し心地も見た目もおすすめです。

⚪︎8.手仕事ファン手染めこぎん糸
刺し心地:刺し心地が非常に良い、滑り過ぎず摩擦がかかり過ぎず。
見た目:手仕事ファンさんの糸の質感そのまま
感想:とにかくおすすめ、とにかく勧めます。

⚪︎9.koginbank こぎん糸
刺し心地
:特徴的な心地よい刺し心地

見た目:koginbankさんの糸らしさがそのまま表現される
感想:布の織り糸が繊細だからか、こぎん糸が布の穴を通過する時のボコボコという感じが手に伝わってきてとても面白い。ぜひ試してもらいたいです。

⚪︎その他感想
 撚りが強すぎると布の穴の大きさが気になり、甘すぎると織り糸からはみ出し、相性がわかりやすい布だと感じました。引き揃えて使用する性質の糸は注意が必要です。その分、相性の良い糸で楽しむと
面白いくらい快適な布です。また、この布の軽さや薄さも作品作りにおいて強みになると思いました。一度作ったことがあるのですが、織り糸が針を避けてくれるというか邪魔をしないので、ピンクッションにおすすめです。

◆オリムパスリネンで楽しめるキット
▶️紫陽花(白の麻布、こぎん糸は手仕事ファンさん)

◆次回の布はニューコングレス

作品制作中につき、しばらく、お時間いただきます!

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◆布と糸の相性について
 布と糸を知る3
でも触れましたが、感覚は個人差があり、当然ながら好みも個人差があります。相性に関しては、布と糸の組み合わせによって刺し心地が異なることをお伝えしたい気持ちで書いています。布や糸の第一印象で距離をとってしまうのは、勿体無いと感じているのも今回の調査を行う理由の一つです。マイナスではなく、プラスを知っていくのが調査の目的です。

◆調査内容に関して
 個人でこぎん刺しをお楽しみいただく方に向け情報で、さとの坊が自宅保管した材料で調べた内容です。保管環境によりお手持ちの布とカウント数のずれや重量に相違が出る場合があると思いますが、ご了承ください。また、写真の無断使用はお断りいたします。 楽しいこぎん時間になりますように。 

Satonobou