布と糸を知る5(織糸2)

◆布と糸を知る5(織糸2)
 
前回の記事、布と糸を知る4では、布の織り糸に迫ってみました。麻は織り糸1本を構成する糸の数が2~3本と少なく、綿に比べてより合わさっている元の糸の太さにばらつきがあるようでした。一方、綿は織り糸1本を構成する糸の数が4〜6本(ケンセンのコングレスはまた違った印象でしたが)と多く、より合わさっている糸の太さが一定のようでした。
 個々の糸の特徴を無視して考えると「目の細かな布=織り糸の本数が多い=重い」が考えられます。実際はどうでしょうか?

(同じサイズあたりの布の目の細かさ=織り糸の数と、布の重さを再確認してみます)

 ちょうどここに、ドイツの布メーカーZweigart(ツバイガルト)社の同サイズ(約8cm×13cm)で同じ重さ(7g)の布があるので比べてみます。
 Zweigartコークは8目/cm、Zweigartダボサは7.1目/cmです。同サイズの布であれば、コークの方が目が細かい▶️織り糸が多い▶️重いと考えられますが、実際には織り糸の本数が少ないダボサと同重量です。つまり、織り糸の本数を揃えると、ダボサの方が重いことが想定できます。そこで織り糸を見てみると、コークは麻が2本で織り糸1本に、ダボサは綿が4本で織り糸1本になっていることがわかりました。織り糸の構成部分にまで注目してみると、織り糸の本数の違いの中には、そもそもの織り糸の太さ(重さ)、麻と綿の繊維としての特徴の違いや、糸になる工程の違いなどを考慮する必要があることがわかりました。

 この本数の違いが、布の丈夫さや、こぎん刺しをした時の刺し心地、すなわち布目を糸が通過する時の摩擦、布の経糸の割れやすさに影響することが想像できます。前回の記事で、製織を行う場合、たて糸に糊付けを行うことで、摩擦などに対処していると説明しましたが、捩り合わせた糸が1本としてしっかりと成立すると、糸が割れづらくなります。それは私たちこぎん刺しを楽しむ立場には重要なことだと気付かされますね。
 織物(布)が糸の集合体だと意識すると、織物(布)の仕組みや特徴の理解を深めることは、織り糸の間をこぎん糸が通過する時にかかる摩擦などを想像する助けになり、その想像は実際にこぎん刺しをする時のテクニックに影響してくるように感じます。こぎん刺しのブログを書いているのかこの頃怪しいですが、知って損になることはなさそうですね!自信を持って進めていきます。

◆麻と綿を見比べてみる
 
続けて、コークとダボサにモドコ(こぎん刺しの基礎模様)を刺した布を見比べてみます。何か気が付くことはありますでしょうか?先にこれまでに確認した情報を並べておきます。
・コーク:麻、8目/cm、7g(8cm×13cm)、たて糸1本は2本捩り
・ダボサ:綿、7.1目/cm、7g(8cm×13cm)、たて糸1本は4本捩り

 コークの方がモドコがやや小さいことからも、布目が細かいことが確認できます。そしてよく見ると、コークの方が布目が細いはずですが、ダボサの方がたて糸よこ糸ともに織り糸が太く、布の穴の大きさはあまり変わらないように見えます。布の穴=糸が通過するところですので、この2つの布は、こぎん糸が通過する時の摩擦があまり変わらないかもしれませんね。
 おそらく、布の穴の大きさだけでなく、布と糸が同素材か異素材かなど、糸通りの滑らかさに影響を与える要因はいくつかあると思いますが、少なくとも、針が通過する穴の大きさがほぼ同じに見えることは、少し目の細かな布でも刺せそうだ!というポジティブな気持ちに繋がりそうです!


 まとめの仕方が雑でしたが(笑)、本日はこの辺で研究を閉じようと思います。そろそろモドコの大きさや形などを比べていきたいと思っていますが、どうなることでしょう。では、引き続きよろしくお願いいたします。

 

 

▶️材料研究ブログ

 

◆調査内容に関して
 個人でこぎん刺しをお楽しみいただく方に向け情報で、さとの坊が自宅保管した材料で調べた内容です。保管環境によりお手持ちの布とカウント数のずれや重量に相違が出る場合があると思いますが、ご了承ください。また、写真の無断使用はお断りいたします。 楽しいこぎん時間になりますように。

Satonobou