布と糸を知る8(布の透け具合2)

◆布と糸を知る8(布の透け具合2)
 
前回の記事、布と糸を知る7では、布の透け具合に注目したらどんな気付きがあったのかについて、調査対象の布の中でも比較のしがいがあったオリムパスリネンとケンセンコングレスについての比較を書きました。
 本日は、調査対象の布を一通り確認していきます。布を確認する前に、一旦布のたて糸を確認します。この糸の集合が、布です。たて糸の時点で違いがあるとしたら、布になった時の違いは大きくなることが想像できます。

◆光の透り具合を見てみる
 
まずは、いつもと同じ並びで布を眺めてみます。今回選んだ布の目数は似たものを集めていますので、ざっくりと考えると、透けていない布▶️織り糸が太い透けている布▶️織り糸が細いと考えられそうです。昨日の写真と同様、布とカメラの位置を固定して撮影しています。
 先に麻布を見てみます。

(麻布、ただしファンシーヘッシャンはレーヨン混紡)

 何か感じることはありましたでしょうか?
 B.ファンシーヘッシャン
が透け具合が低く、F.オリムパスのリネンが透け具合が高い印象を受けますね。布の張り具合を見ていただくと、A.麻252はクリップでつまんだ部分の下あたりが歪んでいるように見えます。C.Zweigartコークも少し布の揺れがありますね。他の布は新品の焼き海苔みたいにパリッとしています。摩擦を防いだり補強のためにたて糸に糊付けされていることを以前お伝えしましたが、その糊の影響でしょうか?購入時期の問題もあるのでしょうか?
 また、麻布は透かすと織り糸の繊維感というか、織り糸一本一本にむらがあるのも面白いですよね。織り糸の繊維感は刺し心地にも影響しそうです。
 次に、綿の6枚も見てみます。

(綿布)

 こちらの印象はいかがですか?
 写真の具合がわかりづらいかもしれませんが、G.ニューコングレスK.ペリープルは他の布に比べて透け具合が高いような印象を受けます。また、I.Zweigartダボサは上の2つほど透けてはいませんが、布の穴以外からも光が入っているような、薄そうな感じがしますね。
 実際、写真の通りに、G.ニューコングレスと、K.ペリープルは、綿布の中でも他とは異なる刺し心地があると感じています。(改めて取り上げます)また、個人的にはL.koginbankが柔らかくなったのがI.Zweigart ダボサという印象で、J.ルシアンのコングレスH.ケンセンのコングレスに比べて表面が滑らかで柔らかい印象があります。
 織り糸の太さに注目すると、麻布に比べて整っている感じがしますね。

◆布の重さ順に並べて透け具合を見てみる
 
目の細かさが近い布を研究対象にしていることはお伝えしてきました。これまでの調査から総合的に判断すると、軽い布▶️織り糸が細い▶️布が透ける?が想像できます。布が透ける▶️刺しやすい?柔らかい??気になりますね。刺し心地に関しては後から調べていきますが、予想を立てておくと楽しそうです。
 最後に、重さの近い布を並べておきます。まずは軽い布6枚です。F.オリムパスのリネンが4g他は5gです。写真内に目数を載せました。

(布名背景が白:麻布、黄:綿布です)

 上の写真を見ると、F.オリムパスリネンとG.ニューコングレス、K.ペリープルの見た目が似ていますね。また、麻布と綿布の織り糸のむらの違いも感じられるように思います。刺し心地が違いそうな匂いがします。気になりますね。
 次に重い布です。C.Zweigart コーク、I.Zweigart ダボサが7g、B.ファンシーヘッシャン、J.ルシアンコングレス、L.koginbankが8g、H.ケンセンコングレスが10gです。何度も繰り返しますが、目数の近い布での重さの差は、織り糸の太さの差であり、同じ目数で重い布は布の穴が小さいことが想像できます。

◆目で見た印象と実際の数値の関係を考える
 これまで直感でなんとなく刺しやすい!難しい!と判断をし、自分の中に経験値のみを蓄積してきましたが、今回の研究が終わる頃には、これまでの経験での材料の相性に加え、これまで試してこなかった布と糸の組み合わせにチャレンジしているかも?など、楽しみな気持ちが募ってきました。引き続き、ゆっくり研究になりますが、一緒に布の穴や糸の太さ、楽しんでいけたら嬉しいです。

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◆調査内容に関して
 個人でこぎん刺しをお楽しみいただく方に向け情報で、さとの坊が自宅保管した材料で調べた内容です。保管環境によりお手持ちの布とカウント数のずれや重量に相違が出る場合があると思いますが、ご了承ください。また、写真の無断使用はお断りいたします。 楽しいこぎん時間になりますように。

Satonobou