布と糸を知る7(布の透け具合1)
◆布と糸を知る7(布の透け具合)
前回の記事、布と糸を知る6では、布によって目数(一定サイズ内の縦横の織り糸の本数)が異なることにより、実際に模様の見え方にどんな違いがあるのかを見ていきました。縦横の織り糸本数の比率が同じ布でも、実際の模様には小さな違いがあったり、面白い発見がありましたね。
今回は、布に光が透ける具合を、直感にはなりますが見ていきます。布と糸を知る3で重さについて調査しましたので、そちらの数値も参考にしていきます。下の写真が研究対象の布ですが、面白い差があったオリムパスリネンとケンセンコングレスの二つを取り上げていきます。
(ぜひ、お手持ちの布をぜひ光にかざしてみてください)
◆布を光にかざして見る
下の写真をご覧ください。8cm×13cmの布で比較したときの、最軽量のオリムパスリネン(麻・4g)と、最重量のケンセンコングレス(綿・10g)を並べた写真です。随分と透け具合(光の通る穴の部分の大きさ)が違いますよね。
※同じ時間帯に同じ場所でカメラ、布共に固定して撮影。私の撮影や編集技術により完璧な比較とは言えないことをご理解ください。
(左がオリムパスリネン:8目/cm、右がケンセンコングレス:7目/cm)
これを見たときに何を思いましたか?左の方が布の穴が大きく、右の方が布の穴が小さい!と思われた方も多かったのではないでしょうか?さらに、左の方が刺すのが簡単そう!と思われた方もいらっしゃるのでは?実際には、二つを比較したときに、左のオリムパスリネンの方が目が細かく、右のケンセンコングレスの方が目が粗いです。
さらにもう一つ注目したいのが、布の重さです。同面積(8cm×13cm)あたりの織り糸が多いオリムパスが4g、織り糸が少ないケンセンが10gです。それぞれどんな織り糸だったか、見比べてみてみましょう。どうですか?全然違いますよね。(写真は拡大しています)
◆目の細かな布は刺すのが難しいのか?
今回の記事を通して私がこぎん刺しを始めたばかりの方に特にお伝えしたいことに、目の細かな布は(刺すのが)難しい、と思わなくていい、ということです。まだこの言葉を裏付ける研究に進んでいないのですが、今回の研究でなんとか導けたらいいなと思っています。次回以降で、調査対象の12枚の布の透け具合を改めて綴っていきます。
◆おまけ:撮影風景
今回はこのように棒にクリップをつけ、布を挟み、できるだけ水平になるように撮影しました。ダルマのリネンやこぎんドゥエルは糊付けが多いようで、クリップでつまんでも布が歪まず、ケンセンのコングレスや麻252はなんとか歪まない位置をつまんだつもりでも歪んだりと、布の張り具合などの発見もありました。歪まない状態で撮ればいいのかな?と考えたのですが、布の柔らかさが感じられるのも一つの収穫だな、と考え、自然体を切り取っています。
上のように撮影した布の写真を最後に置いておきます。よろしければ、それぞれの布にどんな印象を受けるか考えてみてくださいね。
(麻布、ただしファンシーヘッシャンはレーヨン混紡)
(綿布)
7月からしばらく、さらに制作に専念していくため、研究スピードが遅くなると思いますが、じっくり調べていきますので、ゆっくりお付き合いください。また、制作の合間を見て、こちらのショップのキットも充実させていきたいと考えていますので、どうぞお楽しみに。
◆調査内容に関して
個人でこぎん刺しをお楽しみいただく方に向け情報で、さとの坊が自宅保管した材料で調べた内容です。保管環境によりお手持ちの布とカウント数のずれや重量に相違が出る場合があると思いますが、ご了承ください。また、写真の無断使用はお断りいたします。 楽しいこぎん時間になりますように。
Satonobou