布と糸を知る13(ツバイガルト コーク)

◆布と糸を知る13(ツバイガルト コーク)
 
こんにちは、布調べはいよいよ3枚目、本日はドイツリネンのZweigart コークについて書いていきます。前回の記事、布と糸を知る12のファンシーヘッシャンは特徴的で面白かったですね。今回の布はドイツにあるZWEIGART®の布です。越前屋のオンラインショップ(Zweigartの刺しゅう布の紹介リンク)で見ていただくと、色もカウントも豊富であることがお分かりいただけると思います。ツバイガルト社は1877年(日本は明治10年、西南戦争の頃、英国では第1回ウィンブルドン選手権開催
)に始まった、歴史のある織物の会社です。
※布名のアルファベット、糸名の数字は便宜上振ったものです。

◆ツバイガルト コーク(Zweigart Coak)基本情報
⚪︎素材 麻

⚪︎1㎠あたりの目数 8目(20ct)
⚪︎購入店 取り扱い手芸店
⚪︎購入時期 2020〜2022年頃(ロットによる差の可能性を考慮し記載)
⚪︎展開色や価格等の商品情報は販売店やメーカーにお問い合わせください。

(ざっと見た感じは、このような布です。)

◆Zweigart コークの印象(さとの坊調べ)
⚪︎
表面の繊維が少なく、触ると艶があり滑らか▶️糸の通りが良さそう、上品な雰囲気の作品作りに適していそう

⚪︎織り糸に高さがなく、布の穴が小さい▶️糸の太さに注意が必要だが、糸の中に糸が埋もれることはなさそう

⚪︎たて糸が細く割れる要素がない▶️針で織り糸を割ることが少なそう
⚪︎よこ糸が平ら▶︎こぎん糸等が太い場合は次の段に影響が及ぶため糸選びが大切そう

 下の写真は、マクロレンズで撮影した写真です。ご覧の通り、たて糸と横糸の太さが異なります。たて糸は細く締まっているため針で持ち上げやすく、運針に適しています。よこ糸が太く、織り糸に高さがないため、太めの糸を選んだ場合は、糸の居場所を考慮する必要があります。つまり、太すぎる糸だと、上下の段に糸がはみ出してしまいます。糸こきの重要性も実感すると思います。

 

 また、「たて糸を割る心配が無さそう」を、下の写真でご覧いただきたいと思います。同じZweigart社の布で、左が麻(8目/㎠)、右が綿(7.1㎠)です。織り糸を割る余地、麻の方には無さそうですよね、特に針先に丸みのあるこぎん針というのを考慮すると、努力をしても難しそうな気がしてきます。

(麻と綿の素材の違いも面白いですよね)

 ◆Zweigart コークに、また刺してみたい!と思ったさとの坊おすすめの糸
 全て運針で同じこぎん針を使用して刺した感想です。私の技量が見た目や感想に影響することをご理解いただきますようお願いいたします。


⚪︎2.オリムパス こぎん糸
刺し心地
:スムーズでストレスを感じない、糸こきしやすい

見た目:引き揃えずに使用、開封時の状態と変わらずふっくらとしている
感想:オリムパスのこぎん糸も、糸そのものに滑らかさがある印象ですが、布も糸も滑らかで、滑り合っている感じが心地よかったです。

⚪︎5.津軽工房社 津軽こぎん糸
刺し心地:スムーズで、糸の太さと布の穴の大きさのバランスが取れている

見た目:一目部分もふっくらとしていて、糸の質感を壊しておらず上品な印象
感想:津軽こぎん糸の上品で繊細な印象をより引き立ててくれる布だと思いました。ぜひまたこの組み合わせで楽しみたいです。

⚪︎8.手仕事ファン手染めこぎん糸
刺し心地:スムーズで糸こきがしやすい
見た目:糸の持つマットな質感が布の上品さのバランスを調整し、可愛らしくカジュアルな雰囲気になる
感想:手仕事ファンさんのこぎん糸はどの布にも刺しやすいのが魅力だと常々感じていましたが、コークとの相性もバッチリでした。

⚪︎9.koginbank こぎん糸
刺し心地
:布目と糸の太さのバランスもよくスムーズに刺せる

見た目:koginbankさんの糸特有の目に見える捩れ感がそのまま表現されていて、綺麗で可愛らしく印象的
感想:糸の通りも滑らかで、太さもちょうど良く、刺している途中にバラバラになることもなく、心地良い組み合わせでした。

⚪︎その他感想
 織り糸が平たいなため、どの糸も布の織り糸に沈むことなく、ふっくらとした仕上がりになるようです。ただし、よこ糸が太いため、太めの糸や嵩のある糸の場合は次の段に居場所を見つけようとするのか、パンパンになります。その雰囲気が好きな場合は積極的に太い糸を使うのもありだと思います。あとは、その対策に、糸こきの際に、縦にも布を伸ばしてあげると糸の落ち着きがよくなると思いました。また、適度な太さであれば、撚りの強い糸が布目に糸が落ち着きやすいように思いました。

◆Zweigart コークで楽しめるキット
▶️今のところありませんので、開発したらお知らせします。

◆次回の布はDARUMA(ダルマ)こぎん布

 これまでの3枚と、また違った印象です!お楽しみに!

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◆布と糸の相性について
 布と糸を知る3
でも触れましたが、感覚は個人差があり、当然ながら好みも個人差があります。相性に関しては、布と糸の組み合わせによって刺し心地が異なることをお伝えしたい気持ちで書いています。布や糸の第一印象で距離をとってしまうのは、勿体無いと感じているのも今回の調査を行う理由の一つです。マイナスではなく、プラスを知っていくのが調査の目的です。

◆調査内容に関して
 個人でこぎん刺しをお楽しみいただく方に向け情報で、さとの坊が自宅保管した材料で調べた内容です。保管環境によりお手持ちの布とカウント数のずれや重量に相違が出る場合があると思いますが、ご了承ください。また、写真の無断使用はお断りいたします。 楽しいこぎん時間になりますように。 

Satonobou