布と糸を知る18(ケンセン コングレス)
◆布と糸を知る18(ケンセン コングレス)
先日はニューコングレスの調査結果をお伝えしました。糸との相性がはっきりとしていて、滑らかでヨリの強い糸との相性がいいことがわかりました。本日ご紹介する布は、手頃な価格の国産綿布、ケンセンのコングレスです。この数年でカラーコングレスが廃盤になり寂しい思いをされた方もいらっしゃるかもしれません。定番の綿のこぎん布として使われている方も多いかと思いますが、改めて調査しましたので結果をお楽しみください。
※布名のアルファベット、糸名の数字は便宜上振ったものです。
⚪︎素材 綿
⚪︎1㎠あたりの目数(縦:横)7目:7目
⚪︎購入店 オンラインショップ等
⚪︎購入時期 2018〜2022年頃(ロットによる差の可能性を考慮し記載)
⚪︎展開色や価格等の商品情報はメーカー、取扱店舗にお問い合わせください。
(このような布です。あまり光は透けません。)
◆ケンセン コングレスの印象(さとの坊調べ)
⚪︎織り糸が動きづらい▶️ヨリの強い糸は糸を引き抜く際に摩擦がかかりそう
⚪︎織り糸が太く、布目が小さい▶️穴を数えて刺す場合は数えづらそう
下はマクロレンズで撮影した写真です。パヤパヤとした表面の短い毛が糸の滑りを助けるのか、空気を含んでふっくらとしたマタルボンやオリムパスのこぎん糸が糸を引き抜く際にスルスルと滑らかでした。また、それらの甘ヨリの糸は猫のように狭いところでは引き締まり、解放されると広がり、それを見るだけでも楽しいこぎん時間でした。(余談ですが、猫が狭いところを通ることができるのは鎖骨に秘密があるそうです。)
◆ケンセン コングレスに、また刺してみたい!と思ったさとの坊おすすめの糸
全て運針で同じこぎん針を使用して刺した感想です。私の技量が見た目や感想に影響することをご理解いただきますようお願いいたします。
刺し心地:糸の通りがスムーズ
見た目:一目部分も埋もれず綺麗に見える
感想:材料の相性が良いと思いました
刺し心地:糸の通りがスムーズ
見た目:ふっくら綺麗
感想:繊細な糸で布に押されがちな印象ですが、今回はおすすめです。
⚪︎5.津軽工房社 津軽こぎん糸
刺し心地:扱いやすい
見た目:可愛らしくカジュアルな印象
感想:ダルマのこぎん糸と刺した印象は似ています。
刺し心地:糸の通りがスムーズ
見た目:糸のボリュームがそのまま長所になる
感想:一度お試しいただきたい組み合わせです。
⚪︎8. 手仕事ファンこぎん糸
刺し心地:糸の通りがスムーズ
見た目:糸目が綺麗
感想:ストレスなく楽しめます。
⚪︎9. koginbank こぎん糸
刺し心地:糸の滑りに振動が感じられ心地良い
見た目:koginbankさんの糸の質感がそのまま
感想:一度お試しいただきたい組み合わせです。
⚪︎その他感想
これまで何度も楽しんできた布ですが、甘ヨリのこぎん糸や刺繍糸と相性が良いことは今回初めて認識しました。なんとなく一目が埋もれやすいのかと思っていたのですが、布目が小さいだけで糸を潰すことなく、糸のふっくらとした表情を生かした作品作りにも適しているように感じました。
ただし、ヨリの強い糸は糸を引く時にきつく感じました。たくさん刺す場合には指が疲れたりすることを想定して、ゆったりとした時間設定にするといいと思います。布がどう、糸がどう、というよりも、材料同士の相性が刺しやすさに影響するのかな?と改めて感じました。布に厚みがあるため運針は少しずつ行うのが良さそうです。
◆ケンセン コングレスで楽しめるキット
▶️こぎん刺しスターターキット(こぎん糸は手仕事ファンさん)
▶️こぎん刺しキット4(こぎん糸は手仕事ファンさん)
▶️こぎん刺しキット 花束(こぎん糸はオリムパス)
▶️こぎん刺しキット あじさい(こぎん糸は手仕事ファンさん)
(2024年2月現在販売はお休み中です)
◆次回の布はツバイガルトのダボサ
▶️ショップ(お休み中)
◆布と糸の相性について
布と糸を知る3でも触れましたが、感覚は個人差があり、当然ながら好みも個人差があります。相性に関しては、布と糸の組み合わせによって刺し心地が異なることをお伝えしたい気持ちで書いています。布や糸の第一印象で距離をとってしまうのは、勿体無いと感じているのも今回の調査を行う理由の一つです。マイナスではなく、プラスを知っていくのが調査の目的です。
◆調査内容に関して
個人でこぎん刺しをお楽しみいただく方に向け情報で、さとの坊が自宅保管した材料で調べた内容です。保管環境によりお手持ちの布とカウント数のずれや重量に相違が出る場合があると思いますが、ご了承ください。また、写真の無断使用はお断りいたします。 楽しいこぎん時間になりますように。
Satonobou