布と糸を知る2(目数)

◆布と糸を知る2

 ワークショップやキット等で初めて触った材料が、自分にとってのこぎん刺しの材料になっていることは多いと思います。そのときに扱った布と糸の相性や、自分との相性が良い場合はこぎん時間が続いていくと思いますが、もしも相性が良好でなかった場合はどうでしょうか?
 布目が見づらい、糸を引くのが難しい、糸がバラバラになる等、こぎん刺しの難しさが面白さを上回ると、次のこぎん時間が来ないかもしれません。材料との出会い次第で、こぎん刺しとの距離がグッと近づくと思っている私にとって、それは少し残念に感じてしまいます。そこで、実際に私が重量測定をしたり、いろいろな布と糸の組み合わせで刺したりしながら、材料の特徴をお伝えしていきます。1つでも、「この布、この糸、使ってみたいな」と思っていただけたら嬉しいです。

◆材料を知って相性を知る
 昨年、こぎん刺し材料比較スタートと題して調査を始めると宣言し、1年の充電期間を経て材料を知る旅が始まりました。先日の布と糸を知る1では、これから知っていく予定の材料紹介をしました。本日は簡単ですが、布についての基本情報をお伝えします。

◆コングレス?
 以前、お客さまからコングレスの言葉の意味がわからないとご連絡をいただいたことがありました。コングレスは、こぎん刺しやクロスステッチ等のカウントステッチ用に織られた布だそうです。こぎん刺しは下の写真のような織り糸を数えられる(=布の穴を数えられる)布の、穴の部分に糸を通していくことで、整った模様を表現していきます。酔う方がいると思いますので、小さめの写真にします。

◆カウント?
 こぎん刺し用の布を探していると、カウントという言葉もよく耳にすると思います。カウントとは、1インチ(25.4mm)あたりの織り目(織物の糸と糸のすき間)の数で、布の目の細かさを表しています。海外製の布を見ると「ct」と書いてあることが多いと思います。25カウント(25ct)は、1インチあたり25目の布ということになります。
 日本ではインチを使う機会があまり多くないと思いますが、インチは手の親指の幅に由来しているそうです。そう考えると、カウントのイメージが湧きやすくなりますよね。ぜひ、親指の幅を測ってみてください。私は20mm位でした。ちなみに夫の親指も測定しましたが、25mm位で、おぉ!と一人盛り上がりました。少し脱線しましたが、1インチ=25.4mmで考えるより、指の幅あたりの布目の数、と考えると身近になると思います。
 また、こぎん布には模様が縦長になるタイプのものがあります。その場合、目の細かさは縦と横に分けて目数で表記されていることが多いです。例えばこぎんドゥエルの場合、「目数は1cm四方あたり横約9目、縦7目」(しまやショップ布説明欄より引用)といった具合です。

◆布のカウント/目数を調べてみる
 
今回調査の布は、重量測定も行うことを想定し、同じくらいの目の細かさの布を用意しました。下は、目数(1cmあたり)毎に布をグループ分けした情報です。同じ位の目数でも、指定単位が(メートル、尺等)異なると、全体の縦長具合が変わってくるそうです。

⚪︎縦約7目、横約9目/cm
 こぎんドゥエル(麻)、麻252、ダルマ(麻)

⚪︎縦約7目、横約8目/cm
 ペリープル(綿)、ニューコングレス(綿)、koginbankオリジナルこぎん布(綿)

⚪︎縦約6目、横約7目/cm
 ファンシーヘッシャン(麻※レーヨン混紡)

⚪︎約8目/cm(20ct)
 Zweigartコーク(麻)、オリムパスリネン(麻)

⚪︎約7目/cm(18ct)

ケンセンコングレス(綿)、Zweigartダボサ(綿:7.1目)、コスモ刺しゅう布コングレス(綿)

koginbankさんの布は「3cm当たりの経糸本数23本、緯糸本数19本(koginbankさんショップ布説明欄より引用)と説明されていますが、他の布との比較のため1cmあたりでさとの坊が数えて記した情報です。正確な情報は上記3cmあたりの糸の本数です。)

(今度はモドコ(こぎん刺しの基礎模様)を施した布で並べます)

 お伝えしたいことはもっとあるのですが、長くなってしまいましたので、次回に続きます。 布の重さも測ってありますので、布目の細かさや麻と綿による違いなどと何か関係性があるのか等、じっくり向き合っていけたらと思います。

◆調査情報や写真について
 これからお伝えしていく情報は、個人でこぎん刺しをお楽しみいただく方に向けたもので、さとの坊が自宅保管した材料で調べた内容です。保管環境により、お手持ちの布とカウント数のずれや重量に若干の相違が出る場合があると思いますが、ご了承ください。また、写真の無断使用はお断りいたします。 
 ちょっと気になる布、ちょっと気になる糸との出会いの場になれたらいいなと考えながら、ポジティブな情報をお伝えできるように、勉強に励んでいきます!みなさんも気が付いたことや、知りたいことなどありましたら、ぜひ教えてくださいね。ちなみに、繊維についてこちらの本「繊維の種類と加工が一番わかる」がとてもわかりやすかったので共有いたします。糸の仕組みがわかると糸の特徴を理解する助けになると思います。

 

 引き続き、よろしくお願いいたします。こぎん刺し、楽しんでいきましょう!

▶️材料研究ブログ

 

引用
弘前しまや「こぎん刺し材料の通販サイト」, https://shimaya.info/shop/kogin/fabric/original/douelle.html ,2023年6月6日) 

koginbank
ショップ内「【1メートル単位】綿こぎん布 (巾36cm)」販売ページ商品説明欄より, https://koginbank.theshop.jp/items/70574668 ,2023年6月6日)

◆参考文献
「しくみ図解シリーズ 繊維の種類と加工が一番わかる」2012年6月20日紙版発売、日本繊維技術士センター 編、ISBN 978-4-7741-5137-3、Gihyo Direct

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