布と糸を知る19(ツバイガルト ダボサ)

◆布と糸を知る19(ツバイガルト ダボサ)
 
前回のケンセンのコングレスは、ヨリの甘いこぎん糸や刺繍糸との相性が良い布でした。織り糸の押さえ付け具合や布の表面の処理などが刺し心地に影響するようですね。本日のツバイガルト(Zweigart®)ダボサ(Davosa)は、麻布カテゴリーで調査したコークと同じ、ドイツのメーカーの刺繍布です。他のこぎん布とは経糸の様子が異なり、刺し心地も独特でした。

◆ツバイガルト ダボサ(Zweigart® Davosa)基本情報
⚪︎素材 綿

⚪︎1㎠あたりの目数(縦:横)7.1目:7.1目
⚪︎購入店 越前屋
⚪︎購入時期 2020年頃(ロットによる差の可能性を考慮し記載)
⚪︎展開色や価格等の商品情報は店舗にお問い合わせください。

(柔らかそうな印象です。)

◆ツバイガルト ダボサ(Zweigart® Davosa)の印象(さとの坊調べ)
⚪︎布に厚みがない。(織り糸が潰れている印象)▶️糸によってはメリハリが出ない。
⚪︎織り糸が割れやすい▶️一針一針刺すよりも、経糸を弾くように持ち上げる運針が良さそう。
⚪︎経糸が割れやすいことを除くと刺しやすく扱いやすい、糸を選ばない。
⚪︎織り糸がよく動く▶️通常の糸こきに加えて縦方向にも布を伸ばすと綺麗

 下はマクロレンズで撮影した写真です。経糸の捩れ具合を見比べていただきたいのですが、J. ルシアン コングレスに比べると、経糸の捩れの向きが下に真っ直ぐに感じられます。加えて、糊付けの違い等もあると思いますが、ダボサは経糸が割れやすい(解けやすい)印象がありました。運針で経糸を持ち上げるように刺す場合は、コツさえ掴めば経糸を割らなくなりますが、布の穴を目掛けて一針一針刺す場合は経糸を割る機会が増えそうです。というわけで、経験者の方向けの布かなと感じています。

 ◆ツバイガルト ダボサに、また刺してみたい!と思ったさとの坊おすすめの糸
 全て運針で同じこぎん針を使用して刺した感想です。私の技量が見た目や感想に影響することをご理解いただきますようお願いいたします。

⚪︎4. つきや こぎん糸(10本合)
刺し心地:糸が太いように感じるが、糸の滑りが心地良い
見た目:みちっとして綺麗
感想:ぜひ一度試してほしい

⚪︎5. 津軽工房社 津軽こぎん糸
刺し心地:素材の相性が良い印象で、スムーズに糸を引くことができる
見た目:ふっくらして糸の存在感が出る
感想:安心して楽しめる材料の組み合わせ

⚪︎8. 手仕事ファン 手染めこぎん糸
刺し心地:糸の太さが適切で、糸の滑りが心地が良い
見た目:糸の質感がそのまま、見た目にストレスを感じない
感想:文句なしの刺し心地と見た目です

⚪︎9. koginbank こぎん糸
刺し心地:糸を引く際の摩擦(キシキシ)感が心地良い
見た目:糸の質感、特徴がそのまま表現される
感想:問題なく楽しめる材料の組み合わせ

⚪︎その他感想
 ほぼ全ての糸で心地良く刺し進めることのできる布です。オリムパスのこぎん糸やマタルボンも、材料としての相性は良かったです。ただし、布の織り糸が動きやすく、織り糸に高さがないため、一目が埋もれやすかったり、こぎん糸等の居場所が安定しづらい印象です。
 また、ダボサは色が豊富ですので、カラーコングレスの選択肢が減った今、ありがたい存在かもしれません。
 下はZweigart社の麻布、綿布です。織り糸は素材も見た目も異なりますが、相性の良いこぎん糸等が似ていたり、面白かったです。

(同じメーカーでも素材の違いが面白いですね)

◆ニューコングレスで楽しめるキット
▶️こぎん刺しキット6(糸は手仕事ファンさん)

◆次回の布はルシアンのコングレス

 



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◆布と糸の相性について
 布と糸を知る3
でも触れましたが、感覚は個人差があり、当然ながら好みも個人差があります。相性に関しては、布と糸の組み合わせによって刺し心地が異なることをお伝えしたい気持ちで書いています。布や糸の第一印象で距離をとってしまうのは、勿体無いと感じているのも今回の調査を行う理由の一つです。マイナスではなく、プラスを知っていくのが調査の目的です。

◆調査内容に関して
 個人でこぎん刺しをお楽しみいただく方に向け情報で、さとの坊が自宅保管した材料で調べた内容です。保管環境によりお手持ちの布とカウント数のずれや重量に相違が出る場合があると思いますが、ご了承ください。また、写真の無断使用はお断りいたします。 楽しいこぎん時間になりますように。 

※布名のアルファベット、糸名の数字は便宜上振ったものです。

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